猫はバイトを探していた

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 翌日早朝からの神父の代役をコージがどう乗り切ったのか、由紀は知りたい気もするし、どうでもいいような気もしていた。 「……ま、それはいとしても、そろそろ金欠なのよねぇ、あたし。欲しいバックもあるし。割りのいいバイトないかしらねぇ……」  由紀がバイト情報誌のページをめくると。  ふと、目に留まった求人案内があった。 「ん……? 何、コレ……パソコンのオペレーターで……時間は自由……出勤日も都合でok……時給は……へぇ、結構イイじゃん」 「どれ、ちょっいと見せて」  嬉しそうな顔をする由紀の手から、真紀が情報誌をかっさらった。 「……あんたさぁ、コレ、出会い系サイトだよ?」 「げっ! ……何、ソレ! ……って、出会い系サイトってスマホとかでお互い勝手にやるんじゃないの?」 「何言ってんのよ。出会い系の利用者なんてね、九割が男なんだよ。本物の女なんて一割以下。でもそれじゃぁ出会いが成り立たないじゃん? だから、サイトの運営者がオペレーターを雇ってスケベな男共を引き付ける役をやるワケ」 「へぇ、成るほど……」  由紀は改めて、情報誌の案内を眺めた。 「妙なトコで感心してないの、ホラ、そろそろ行くわよ。二時二十分からでしょ? 次の講義。間に合わなくなるわよ」  レシートを手に、真紀が二人をせかした。
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