野良猫にだって事情はある

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野良猫にだって事情はある

「もしもジュンが答えてもいい、と思うんだったら、でいいんだけど。教えてくれない?」 「……何?」 「こんな事聞くのはルール違反だって重々承知しているんだけど、どうしても聞きたいの。………ジュンって小学生でしょ? どうして『こんな事』しているの?」 「あぁ、そういうコト?」 ジュンは意外なほど、明るく答えた。 「もっと早くに聞いてくるかってと思ってたケド。……いいよ、教えてあげる。でも、その代わりにユキさんの事も教えてくれる?」 「えっ? あたし? いや、別にいいけど……でも、あたしはそんな大した理由とか、ないよ? それでもいい?」 ひょっとして怒られるか泣かれるか、と半分覚悟していただけに、由紀としてはやや拍子抜けである。 「うん、いいよ。ジュンには色んな人の話って、面白いの。ここに居ると学校じゃ、絶対に聞けない話が聞けるのも楽しみの一つだから。あのね……」 淡々と語るジュンの話は、由紀の想像を何段階も超える壮絶なものだった。 ジュンは元々母子家庭で育った。 兄弟はいなく、自分と母親の二人で暮らしていた。また、親戚も居るという話を聞いたことがないそうだ。ジュンが今よりも更に幼い頃は母親も優しい人だったらしい。     
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