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身を翻して千歳の首筋に縋り付いた今路は、顔を見られるのが恥ずかしくて鎖骨に頬を寄せる。
「なぁ、ちーちゃん。こう言う事言うと、酷いかもしんねぇけどさ……」
「うん?」
「俺は、あんたら兄弟が生きてて良かったと思ってんだ。そうじゃなきゃ、千幸さんにも千瑛にも会えなかったし、ちーちゃんにだって再会してないだろ? だから、後悔しないで欲しい……。絶対、生きてて良かったって思わせるから」
「今路……」
「あ、上がろうぜ。逆上せて来た……」
まだ千瑛が今路の家に入り浸っていた頃、溺愛された弟はこう言っていた。
「トセ兄は、俺のせいで恋人も満足に作れないからさ……」
家の中に人の気配がないと症状が出てしまう千瑛は、千歳との二人暮らしが長く、兄を家に縛り付ける自分が嫌になるのだと言った。
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