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風呂から上がって火照った体をビールで内側から冷やす。
まだ寒い春の昼下がり、ベランダの向こうでは少し強い風が吹いている。
晴れている眩しい光のせいで、部屋の中が鄙びて陰りを帯びていた。
お互い喉を鳴らしてビールを煽った後、今路はサイパンへ持って行ったキャリーケースを広げた。
「片付けなんか明日にしろよ、今路」
「うん……ちょっとお土産あって……」
「お土産? 何だ? 変な人形とか要らんぞ」
「あった……。そんな趣味悪くねぇよ、オッサンじゃあるまいし」
今路はソファに座って、隣をポンポンと叩く。
千歳はその誘いに大人しく隣に腰掛けた。
「なぁ、ちーちゃん。今日、特別な日……なんだろ?」
「お前が、俺だけのものになるって言ったんだ。特別だろ?」
「うん……だから……これ、役所で貰って来たんだ」
今路は持っていた紙をテーブルに広げて見せた。
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