終章

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あるはずないと思うのに、心のどこかで期待してしまう自分がいて。 目の前にしゃがみこんでいる人物の足元から、落としていた視線を辿らせた。 ──たった18歳だった私には、恋や愛がどういうものなのか、イマイチわからなかった。 思うままの気持ちを言葉に出来るほど子供でも大人でもなくて、必死にもがいて溺れて、前が見えなくて。 それでも這い上がろうと、必死だった。 28歳になった自分が、本当の意味で大人になれているのかどうかはわからない。 でも、今だから言えることもある。 たった1週間という短い時間の中で、私があの男に抱いたのは……紛れもなく愛だった。 切なくて苦しくて、愛しくて……。叶うなら、自らの両手で抱き締めて守りたかったけれど。 真尋がそれを受け入れなかったのも、きっと彼なりの、不器用で真っ直ぐな愛だったんだと思う。
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