偶然

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偶然

やっぱり、あの人だったんだね。 心臓が飛び出そうなくらい。 バクバクしていた。 ーー安西宅にてーー 「ヒロー、なつみちゃん可愛かったでしょ?まさか知り合いだった?」 「いや、知らない。」 「そう、なんか知ってそうな感じがしたー。」 「そう?」 「うん。」 ーーーーーー 安西さんの彼氏。 幼い時によく遊んでいたヒロキくん。 最近、手紙をくれた人。 桜の木の袋の人。 道で助けてくれた人。 会えたけど。 会えたんだけど。 まさか、安西さんの彼氏だなんて。 はじめましてと言ってしまった。 一目惚れをしてしまった、そんなような感情だった。 まさか、こんな偶然があるなんて。 一瞬だったその時間がとても長く感じた。
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