来店

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来店

人は、逢ってはいけないとか、逢わないほうがいいと思えば思うほど逢いたくなってしまう。 そういう生きものなのかもしれない。 桜の木の下に、手紙を置くことにした。 『もう一度、お話がしたいです。なつみ。』 それだけを書いて置いた。 昔の懐かしい。 想い出の話をしたいな。 返事はくるかこないかは、分からない。 それでも満足していた。 自己満足。 それでもいい。 そう思っていた。 仕事、頑張らなきゃ。 そんな時。 「いらっしゃいませ。」 「こんにちは。なつみちゃん。」 安西さんがお客さんとして来た。 いつも通り。 普通に接することを心がけていた。 「なつみちゃん。違ったらごめんね。ヒロと知り合いだったりした?」 「えっ?何でですか?」 「知り合いなら隠さないでほしいから。」 はっきりとは、答えなかった。 本当に、幼馴染のあの男の子なのか。 まだ確かめていなかったから。 今はまだ、言わなくていいよね。 心配かけてしまうかもしれないし。 1番気になったのは。 言ってしまったら、あの手紙も返事もないかもしれない。 もう二度と逢えなくなってしまうかもしれない。 そんな言葉が頭によぎってしまったから。 安西さんは、安心したような顔をして、店を出た。
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