嘘とジェラシー

オレと彼女の出会い

　何でもええけど、とりあえず連絡はくれやんとさぁ、帰るに帰られへんやん……。

　ハァーッ。もう溜息も真っ白や。

　寒すぎて笑けてきた。

　我ながらお人好しやなって思うけど、止むに止まれぬ事情があるんかもしれんと思ったらなかなか帰れんくて。

　自分のファンやって言うてくれてる子に、悪い子はおらんって思いたいのもあって。

　待ち合わせしてるカップルを何組見送ってきたやろう。
　イチャイチャしてるカップルを何回睨み付けたやろう。

　誰を妬んでも恨んでもしょうがないのにな。さすがに今日はもう来やんかもって、薄々気づいてるのにしつこく待ってたのはオレやし。

　もうええ加減、帰ろうかな。

　そう思った時、フラフラと女の子がやって来て隣のベンチに腰を下ろした。