オレと彼女の出会い

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 そう思ったら、何かその子のことが急に身近に感じられて、放っとけんくなった。  そっと近づいて、同じベンチに腰を下ろしたけど、彼女は全然気づいてなかった。  肩を震わせて泣きながら、持っていた紙袋から小さな箱を取り出した。  箱を開けると、そこにはチョコレートが入ってた。  手作りかな?あーあ、可哀想に。一生懸命作ったんやろうになぁ。  オレがじっと見てることにも気づかず、彼女は手作りっぽいそのチョコレートを自分で食べ始めた。 「なんで泣いてんの?」  その姿があまりに痛々しくて、オレは自然と声をかけていた。 「え?……いえ、別に」  彼女はオレがすぐそばにおったことに驚き、警戒心丸出しにそう言って涙を拭った。
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