俺と彼女のすれ違い

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 メーカーや顧客が海外の人間であれば、こちらが夜中であっても関係なく対応を迫られる。こちらに非があれば無視する訳にもいかない。  頭が常に混乱していて、体も脳みそもいくつあっても足りない。出張が重なると自分が今どこにいて、何をしているのかふと分からなくなる時もあった。  来る日も来る日も仕事を終えるとベッドに倒れ込み、死んだように眠った。  薄れゆく意識の中で、くるみの声が聴きたいと思うこともあったし、ここにくるみがいてくれたらと思うこともあった。  だが、こんな状態の時にくるみと接してしまったら、何もかも嫌になって投げ出してしまいそうで、ただ耐えるしかなかった。  申し訳ないと思いつつも、くるみに甘えるしかなかった。
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