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「侍だったら、間違いなく切腹でしょうね」
「はぁ。俺もお前も首や腹がいくつあっても足りねえな」
冗談に聞こえなくて、お互いに笑うこともできなかった。
行く前から気分は憂鬱だったが、着いたら先方は激怒していて面会も拒否された。だからと言って帰る訳にもいかず、寒い中、会ってもらえるまで何時間も待った。
ようやく会ってもらい、謝罪や経緯を説明している間に日付は変わっていた。
当然、こんな時に「彼女が誕生日なので電話してきます」なんて口が裂けても言える訳がなく、無情にも時間だけが過ぎていった。
「今日中にどうにかしてくれ」と無理難題を申し渡されてその日は何とか解放されたが、それでも解決策を出すまでは東京に帰ることもできず、俺と課長は徹夜で策を考えた。
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