嘘とジェラシー

俺と彼女のすれ違い

　ここまで忙しい時じゃなければ、無理難題を言われた方がやる気になるタイプではあったが、正直今は一ミリもやる気が出ない。

　数日後に控えた商談のこともあるし、こっちにかかりきりになることはできないのだ。

　精神的にも肉体的にも疲れ果て、内心ではかなり焦り苛立ってもいたが、謝罪に来た身でそれを顔に出すこともできず、やり場のない感情を必死で噛み殺して抑えつけた。

　自分で選んだ仕事とはいえ、寝る時間も食べる時間も削って、身に覚えのないことで怒鳴られ、頭を下げ、彼女に会う暇さえない。

　このままでは病んでしまいそうだ……。

　結局、先方が納得する解決策も出せないまま、くるみと待ち合わせしていた時間もとっくに過ぎてしまっていた。