俺と彼女のすれ違い

27/28
前へ
/1603ページ
次へ
『わたしは専業主婦になるのが夢なの。子どもがある程度大きくなるまでは家にいて、いっぱい遊んであげたいから』  自分と会社のためだけなら、ここまではできなかったと思う。  できない無理をして世界中を駆けずり回り、下げたくもない頭を下げているのは、子どもと無邪気に遊ぶくるみの笑顔が見たいと思ったからだ。  俺はいつの間にかくるみと家庭を持つことを想像していたらしい。  そのことに気がついた瞬間、あともう少し頑張ろうと思えた。  くるみと子どもを養うためには経済力が必要だ。  病んでいる暇などない。何としてもこの窮地を乗り切ってやる。
/1603ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8253人が本棚に入れています
本棚に追加