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「あら、先生。今日はえらくスッキリした顔してるわね。なんか良い事でもあったの?」
ご婦人のクラスでレッスンを始めようとしたら、いつも何かと気にかけてくれる東野さんっていうおばちゃんがオレに向かって言った。
朝から下ネタかよ!って言いそうになって慌てて呑み込んだ。
スッキリって別に変な意味で言うたんちゃうよな?
そら、まあ久々にスッキリはしとるけども。
「昨日はよく眠れたんですよ。やっぱり睡眠は大事ですね」
それっぽく誤魔化してレッスン始めたけど、体のキレの悪いこと。
腰やら腕やら重ダルいし、なんでこんなに動き鈍なるんやろ。
けど、こうやって体にも余韻が残ってるってことは、昨日のことが夢じゃなかったんやっていう証拠。
朝、目が覚めたら彼女の姿はなく、置手紙のひとつもなかったけど、オレは昨夜確かにあの子と――。
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