8253人が本棚に入れています
本棚に追加
*
「オレの名前はユージ。お宅は?」
「わたしは……ひ、ひかわです。ひかわくるみ」
「くるみちゃんか。可愛い名前やな、くるみって」
よく名は体を表すって言うけど、見た目だけじゃなく彼女は名前も可愛かった。
最初こそ彼女はオレのことめっちゃ警戒して、名前以外のことは何も教えてくれやんし、顔も怖かったけど、しゃべってるうちにどんどん笑ってくれるようになった。
こっちも笑わさなあかんと思って必死やったけど、そんな苦労も吹き飛ぶほど笑った彼女は眩しかった。
大口を開けて笑いながら「ユージって面白いね」って言ってくれるのが何より嬉しかった。オレは芸人ちゃうけど、面白いって言われて悪い気はせん。
話せば話すほど、彼女は素直でええ子やっていうのがよく分かった。
最初のコメントを投稿しよう!