嘘とジェラシー

Fatal Attraction

　彼女は自分からガンガン話しかけてくるタイプではなかったけど、だからってシラケてるワケでもなく、話を聞いてる時はちゃんとオレの目を見てくれてた。

　今日初めて会ったはずやのに、もうずっと昔から知ってるみたいに話しやすい。

　こんなカワイイ彼女のことすっぽかすなんて、彼氏ってどんな男なんやろ。

　騙されやすそうやし、変な男と付き合ってんのかな。

「くるみんの彼氏って何してる人なん？」

「ああ……彼は私と同じグループ企業の商社マンなの」　

　彼氏のことを訊くと彼女は一瞬表情を曇らせるけど、すぐに頬を赤くして嬉しそうに教えてくれた。

　よっぽど好きなんやなぁ、彼氏のことが。

　あんな寒いとこで何時間も待たされた上にドタキャンされたっていうのに、愚痴も文句も全然言わん。