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「あんまり残業ばっかしてると会社がうるさくて。でも、時間内に終わらないから、仕方なく家で仕事してたんだ」
「そうなんだ。邪魔してごめんね」
普通だったら文句のひとつでも言うだろうが、くるみは申し訳なさそうにそう言った。
申し訳ないのは俺の方だと思いつつも、内心では安堵していた。
「昨日も行けなくてごめん。でも、今、会社の業績落ちてて、結構ヤバいんだ。だから、どうしても今任されてる取引を成功させたいんだ。会社のためにも俺の将来のためにも失敗できないんだ。分かってくれるだろ?」
詳しいことは何も説明していないのに、分かれと言った方が無理だ。
それでも、そう言えばくるみは納得してくれるだろうと思っていた。
俺は狡くて嫌な男だ。
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