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「いやぁ、あっこの飯美味かったでなー。値段も安かったし……あ」
想像もしていなかった光景に、一瞬脳がフリーズした。
まさか、くるみが見知らぬ男と二人で帰って来るなんて……。
よりにもよって、どうしてこんなチャラチャラした男と?
男が近づいてくると、女性用とは違う甘くない香水の匂いがした。俺の嫌いな人工的な匂いだ。
くるみに会うことを楽しみにしていた気持ちが、急速に冷めていくようだった。
「もしかして、彼氏?」
「え、あ、うん……」
男が訊くと、くるみは気まずそうに頷いた。
「お邪魔だったかな」
誰だお前!なんて怒鳴りつけるのは大人げない。
胸の奥から言い知れぬ感情が込み上げてきたが、グッと呑み込んだ。
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