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単なる友人の一人が、わざわざ彼氏の前で彼女を”可愛い”などと言うのだろうか。
男はそれ以上何を言うでもなくにこやかに帰って行ったが、くるみに気があることは明白だった。俺がいなければ、部屋に入る気だったのでは?
だが一緒に部屋の前まで帰って来るあたり、くるみも満更でもないのかもしれない。
胸の奥に黒い感情が渦巻いた。
「ごめん、急に来て。今日は仕事が早く終わったもんだから」
「そうなんだ。ごめんなさい。知ってたら真っ直ぐ帰って来たのに」
「LINEしたんだけど」
「そうなの?ごめんなさい!」
謝ってばかりいるくるみは焦ってスマホを確認した。
LINEに気がつかなかったのは、あの男と一緒だったからか。
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