8253人が本棚に入れています
本棚に追加
「くるみには感謝してるんだ。俺の仕事のこともちゃんと理解してくれて、『私と仕事どっちが大事?』なんて下らないこと訊かないし、ワガママも言わない。色々我慢してくれてるんだと思う。」
言いながら距離を詰めると、くるみは僅かに肩をビクつかせ、頬を紅潮させた。
あの男はともかく、くるみを疑うなんてどうかしている。
散々、約束を破って悲しませているのだから、男友達と遊んだぐらいでやきもきすることなどない。
「俺は不器用だから、ひとつのことに集中してると他のことができなくなるんだ。俺の都合ばっかり言って申し訳ないけど、くるみがそれでもいいって言うんなら、あともう少しの間だけ我慢してもらえないかな?」
「うん。分かった。頑張る」
「ありがとう」
頭を撫でると、くるみはいつも通り嬉しそうに笑った。
最初のコメントを投稿しよう!