嘘とジェラシー

俺とアイツの出会い

　こんな時にこの間のような男から誘われたら、つい魔が差すということもあるのかもしれない。

　だからと言って、前日にドタキャンした俺が「明日は誰とも会うな。どこへも行くな」なんて言えるはずがない。

　会えない時間に彼女が誰と何をしていようと、俺にはそれを責めることはできない――。

　ゴルフの後、夜中まで付き合わされることを覚悟していたが、意外にも食事だけして解散となった。

　全員でタクシーに乗り、向こうの部長と営業担当、その後にうちの部長が降り、最後に俺の家まで行ってもらった。

　道中、くるみの家の前を通ったので、一瞬降ろしてもらおうかと思ったが、くるみの部屋には電気が点いていなかった。

　こんな時間までどこへ行ってるんだろう……。