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顰め面で歩くスーツ姿のサラリーマンを見ると、俺もあんなに怖い顔をして歩いているのかと不安になった。
待ち合わせの場所でしばらく待っていると、遠くの方からキョロキョロしながら小走りで近づいているくるみの姿が見えた。
何も走ってくることはないのに。微笑ましい光景に口元が緩んだ。
「お疲れ様」
後ろから声をかけると、くるみは体をビクッとさせて振り返った。
「わ、ビックリした!」
幽霊でも見るように俺をじっと見た後、くるみは相好を崩した。
「じゃあ、行こうか」
「う、うん」
くるみには何も伝えていなかったので、予約していたフレンチのビストロで誕生日をやり直したいと言ったら目を潤ませて喜んでくれた。
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