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三年以上付き合っているというのに、くるみは未だに俺に気を遣っている。
俺にはダメな部分も見せてくれればいいのにと思うのだが、そうできないのはきっと俺のせいなんだろうなとも思う。
片づけをしているくるみを待ちながら、何気なくチェストの上に目をやった。
ディズニーのキャラクターの耳を模した帽子が自己主張するようにそこに置かれていて、思わず手に取ってしまった。
ふわっとあの男の匂いがした気がして、すぐに帽子を置いた。
まさか、くるみはあの男と……?
「行ったの?ディズニーランド」
確証もないのに、責める訳にはいかない。至って冷静にくるみに尋ねた。
「う、うん。昨日ね。たまたま友達に誘われたから」
一瞬俺を見た後、くるみはすぐさま視線を逸らした。
「友達って、もしかしてこの間ここに来た、椎名とかいう男?」
思い切って核心に触れた。
まるでくるみを試すかのように、俺は答えの分かり切った質問を投げかけていた。
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