嘘とジェラシー

行きずりのオレと本命のアイツ

「どうぞ」

　玄関のドアを開けると、彼女は固まった。

「あの……わたしやっぱり……」

「ここまで来てやっぱ止めるとか言う気？」

　怖気づく彼女を強引に中へ引き入れると、力いっぱい抱きしめた。

　まだ出会って間もないのに、オレはなんでこんなにもくるみんに惹かれてしまうんやろ。

　彼氏だっておるのに。彼氏がおるから？いやいや。オレは別に他人様の彼女を盗る趣味はないし。

　今回はたまたま、彼氏がおる子を好きになったってだけで。

　人を好きになるのは理屈じゃない。過ごした時間の長さも事情も関係ない。気をつけてても事故が起きてしまうみたいに、一瞬で落ちてしまう時ってあるねん。