行きずりのオレと本命のアイツ

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「もしかして、彼氏?」  白々しく訊いてみる。 「え、あ、うん……」  くるみんは声を震わせながら頷いた。そんな反応じゃバレるから!ホンマ、嘘つくの下手っていうか嘘つかれへんなぁ、くるみんは。  まぁ、そこがええとこでもあるんやけど。 「お邪魔だったかな」  部屋の前に立っていた男は、オレらの方に向き直るとにこやかにそう言った。  へえ。これがくるみんの彼氏かぁ。シュッとして、確かに見栄えはええけども。  なーにが「お邪魔だったかな」やねん。ちょっとぐらい男前やからって気取ってからに。  嘘でも「俺の女に手出すな!」とか言うたれよ。見てみ、くるみんのがっかりした顔。あーあ、かわいそうに。
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