俺の知らない彼女

11/30
前へ
/1603ページ
次へ
 電話をしても出なかったので不安が頭を過ったが、部屋に電気が点いていたのでホッとしてドアホンを鳴らした。 「稜サン!?」  モニターに俺が映っていて驚いたのか、くるみは大きめの声で応答した。  何やらバタバタした後、ドアを開けたくるみはどうも湯上りのようだった。 「こんな時間にごめん。さっき電話したんだけど、出なかったら」 「そうなの?ごめんなさい。お風呂入ってたから気がつかなくて……散らかってるけど、どうぞ」  電話やLINEに気づかない時はだいたい風呂に入っている時だ。いつも通りの答えに何だか妙に安堵していた。  くるみは慌てて部屋にへ入るように言ってくれたが、明日から海外出張だし今日はそのつもりではなかった。  ただ無性にくるみに会いたかった。
/1603ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8251人が本棚に入れています
本棚に追加