8251人が本棚に入れています
本棚に追加
「いいんだ。明日からヨーロッパの方に出張に行かなきゃいけなくなって。しばらく会えなくなるって思ったら、くるみの顔が見たくなっただけだから」
「じゃあ、少しだけでも……」
珍しくくるみは引き留めるように俺の腕を掴んだ。
「ありがとう。でも、あがったら長居しそうだから、出張が終わってからの楽しみに取っておくよ」
「うん。じゃあわたしも楽しみにしてる」
遠慮がちにそっと俺の胸に顔を埋めたくるみを抱きしめた。
この時の俺の頭の中には、早くくるみを喜ばせたいということしかなかった。
最初のコメントを投稿しよう!