俺の知らない彼女

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「いいんだ。明日からヨーロッパの方に出張に行かなきゃいけなくなって。しばらく会えなくなるって思ったら、くるみの顔が見たくなっただけだから」 「じゃあ、少しだけでも……」  珍しくくるみは引き留めるように俺の腕を掴んだ。 「ありがとう。でも、あがったら長居しそうだから、出張が終わってからの楽しみに取っておくよ」 「うん。じゃあわたしも楽しみにしてる」  遠慮がちにそっと俺の胸に顔を埋めたくるみを抱きしめた。  この時の俺の頭の中には、早くくるみを喜ばせたいということしかなかった。
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