俺の知らない彼女

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 俺はアジアに比べ、ヨーロッパに来る回数が圧倒的に少ないのでなかなか行くことができないメーカーを何社か回る日程を組んでいた。  慣れない国のメーカーをいくつも回り心身ともに疲れ果てていたが、最終日のフランスでどうしても立ち寄りたいところがあったので気合で乗り切った。  他人にプライベートなことを知られたくはなかったが、万全を期すためにフランス語が堪能な後輩に付き添いを頼んでおいた。準備も万端だ。 「氷川さんが仕事以外で行きたいとこがあるなんて珍しいっすね」  最後の商談を終えると、後輩の矢島と共に早速目的の場所へと向かった。  詳細は話していなかったので、到着した店を見て矢島はかなり驚いているようだった。 「寄りたいとこってここですか?」
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