俺の知らない彼女

23/30
前へ
/1603ページ
次へ
 溜息混じりに行きますと返事をした。どうせならくるみに会いに行きたかったが、俺は指輪を購入したことで心に僅かばかり余裕が生まれていた。  自分の気持ちを示すことができる証明書を手に入れたような、清々しい気持ちだった。  ダイヤも霞むような、眩いばかりのくるみの笑顔を思い浮かべる。  あともう少し、仕事がひと段落したら、きっとくるみの笑顔が見られる――。  気持ちを切り替えて、木村商事との飲み会に参加した。  既に木村部長は出来上がっているようで、赤い顔をして大声で笑っていた。  恐らく身に付けている物は一流品ばかりだろう。物だけ見れば高級品だと分かるが、部長込みだと途端に安っぽく見えてしまう。
/1603ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8251人が本棚に入れています
本棚に追加