俺の知らない彼女

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「ちょっと、ちょっと!氷川君たら、もしかして彼女みたいな女が好みなのー?」  ああ、めんどくせえ。  中学生じゃあるまいし、喋っただけで好きだの嫌いだのって、あまりに幼稚な発想で溜息も出ない。 「いえ、そういう訳では」 「ふーん。だったらどんな女が好みなの?氷川君て彼女いるんだっけ?」  一瞬、いないと嘘をついた方がいいのかとも思ったが、俺は色恋で仕事をしている訳じゃない。嘘をつくなんて馬鹿げている。  「ええ、もう三年半ぐらい付き合っている彼女がいます」 「あら、そうだったの?がっかりー。知らなかったわ。で?彼女はどんな人なの?三年半も付き合ってるんじゃ、もうマンネリなんじゃない?」  例えマンネリだったとしても、それを訊いてどうするつもりなんだろう。自分にもチャンスがあるとか思っているのだろうか。自惚れる訳じゃないが、それは絶対にあり得ない。
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