8251人が本棚に入れています
本棚に追加
「ちょっと、ちょっと!氷川君たら、もしかして彼女みたいな女が好みなのー?」
ああ、めんどくせえ。
中学生じゃあるまいし、喋っただけで好きだの嫌いだのって、あまりに幼稚な発想で溜息も出ない。
「いえ、そういう訳では」
「ふーん。だったらどんな女が好みなの?氷川君て彼女いるんだっけ?」
一瞬、いないと嘘をついた方がいいのかとも思ったが、俺は色恋で仕事をしている訳じゃない。嘘をつくなんて馬鹿げている。
「ええ、もう三年半ぐらい付き合っている彼女がいます」
「あら、そうだったの?がっかりー。知らなかったわ。で?彼女はどんな人なの?三年半も付き合ってるんじゃ、もうマンネリなんじゃない?」
例えマンネリだったとしても、それを訊いてどうするつもりなんだろう。自分にもチャンスがあるとか思っているのだろうか。自惚れる訳じゃないが、それは絶対にあり得ない。
最初のコメントを投稿しよう!