俺の知らない彼女

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 衝撃の告白をしたお陰か、飲み会は早々にお開きになった。  ホッと胸を撫で下ろしながら、クラブから出て木村商事の皆さんをお見送りした。 「女部長さん、怒らせちゃってよかったんですか?」  隣にいたホステスが俺に耳打ちした。 「しょうがないよ。嘘つくのもおかしいし」 「氷川さんに彼女がいたなんて、私も少しがっかりですけど」 「ハハッ。よく言うよ」  見え透いたリップサービスを受け流している時だった。 「……え?」あれって、もしかしてくるみ?  店の前の通りに立って、くるみは俺のことをじっと見ていた。隣にいるのは椎名か?  俺と目が合うと、くるみは今にも泣き出しそうな顔で走り去った。
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