諦めの悪いオレと冷たいアイツ

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 今さら家を訪ねて行ったところで迷惑なだけやし、居留守使われるかもしれん。  ドアホン越しに軽くあしらわれる可能性もある。  それでも、このまま黙って帰る気にはなれんかった。  どうせ終わりにせなあかんのなら、面と向かって聞きたいし、言うてほしい。  オレの気持ちも、中途半端なまま消化不良になってるし。  人差し指でドアホンを押すと、小さくピンポーンって音がした。  モニターに映ってるのがオレやと知ったら、出て来てくれへんかなぁ。  アイツやったら喜んで出て来るんやろうけど。  なんて思ってたら、自然とドアを叩いてた。 「……はい」   ようやくドアを開けた彼女は、少し怯えたような気まずい目をしてた。
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