諦めの悪いオレと冷たいアイツ

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 よりにもよって、なんで彼氏のおる子なんか好きになってしもたんやろ。  辛いだけやのにアホみたいや。 「すぐには無理やけど、ちょっとずつくるみんのこと忘れられるように努力するから」 「うん……」  今にも泣き出しそうな顔でくるみんが頷いた。 「そんな顔しやんといてよ。オレは大口開けて笑ってるくるみんが好きやねんから」  出会った日、彼女はこの世の終わりみたいな顔で泣きながら、チョコレートを食べていた。あの時は、彼女の笑った顔なんて想像もつかんかった。  せやから、飲みに行って初めて満面の笑みを見た時、心臓が爆発したような感覚に陥った。  こんなに魅力的な顔で笑うんやって。  泣いてるなんて勿体ないって。  悲しませるなんてサイテーやって。  そう思った。
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