諦めの悪いオレと冷たいアイツ

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「そうです。この人は先生の彼女です」胸張って紹介できたら気持ち良いやろうな。  口が裂けても「彼氏がいる人に手を出しました」とは言えない。  曲がりなりにも指導者という立場にありながら、純真な子どもたちには言えんようなことをしてるんやなと思うと、胸がヒリヒリと痛んだ。  ダンスのことは何も分からないって言うてたから、楽しんでもらえるか不安もあったけど、発表会が始まるとくるみんは「わぁ」って感動したり、手を叩いてノッてくれたりしてた。  素直で無邪気な姿が微笑ましくて癒される。  発表会が終わった後、どうせ最寄り駅も近くやしってことでくるみんと一緒に電車で帰った。  ちょうど混んでる時間帯で、思いがけずくるみんの背中に体が密着した。鼻先にくるみんの髪の毛が当たってふわっとええ匂いがする。
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