諦めの悪いオレと冷たいアイツ

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 実力があればみんなデビューできて成功できるかって言えば、決してそうじゃない。オーデションは落ちる方が圧倒的に多いし、デビューしたってそれで飯食える人なんて限られてる。 「そっかぁ。厳しい世界なんだね」 「オレだって海外でも通用するような一流のダンサーを目指してるけど、実際はダンサーとしてだけでは食べていけてないからな」  今日はええ機会やと思ってオレの夢の話をした。  冷たい誰かさんと違って、オレは好きな女には仕事の話も夢の話も聞いてもらいたいって思うし、逆に聞きたいとも思う。  どんなにつまらんことでも、好きな人のことならぜんぶ知りたいやん。 「すごいね。わたしはそこまで追いかけたい夢なんて持ったことないから羨ましい。人生は一回きりなんだし、いいんじゃない?思い切り好きなことすれば」  夢を応援してくれるのは、オレが彼氏じゃないからかなって気持ちもなくはないけど、一度きりの人生やから思い切り好きなことするっていうのは、常にオレが意識してることやったから素直に嬉しかった。
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