8252人が本棚に入れています
本棚に追加
玄関に置きっ放しになっていたスーツケースを見た瞬間、十数時間前のことが鮮明に甦ってきた。
”この指輪を贈られる女性は幸せ者ですよ”
柄にもなく浮かれていた自分が急に恥ずかしくなり、燃えるように体が熱くなった。
煮え滾りそうな気持ちのやり場もなく、俺はソファーに腰を下ろそうとしていたくるみを捕まえると、強引にキスをしていた。
どうして?なんで?
そんなことばかりが脳裏を行き交う。
椎名ともこうやって……。
気がついた時には、くるみをベッドに押し倒していた。
「りょ、稜サン……!?」
身を捩って拒もうとするくるみに問いかける。
最初のコメントを投稿しよう!