彼女のためにできること

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 玄関に置きっ放しになっていたスーツケースを見た瞬間、十数時間前のことが鮮明に甦ってきた。  ”この指輪を贈られる女性は幸せ者ですよ”  柄にもなく浮かれていた自分が急に恥ずかしくなり、燃えるように体が熱くなった。  煮え滾りそうな気持ちのやり場もなく、俺はソファーに腰を下ろそうとしていたくるみを捕まえると、強引にキスをしていた。  どうして?なんで?  そんなことばかりが脳裏を行き交う。  椎名ともこうやって……。  気がついた時には、くるみをベッドに押し倒していた。 「りょ、稜サン……!?」  身を捩って拒もうとするくるみに問いかける。
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