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体を重ねたところで何の意味もない。
もう、そんなことで誤魔化せる段階じゃないんだ、俺たちは。
「ごめんなさい……あの……」
震える唇でくるみが何を言い出すのかと思うと恐ろしくて、思わず遮ってしまった。
「笑えるよな。ベビーシッターだって。あれって結局、自分を浮気相手として認めろって言ってるのと同じだろ。ホントに低俗で厚顔無恥な男だよな」
別れてほしいと頼むならまだ理解できたが、ベビーシッターだなんて常軌を逸している。
「バカバカしくてまともに相手する気もしなかったけど、でも、実際くるみは俺がいない時、アイツに会って気を紛らわしてたんだもんな。もう既にベビーシッターしてもらってんのと同じなんだよな」
間抜けな自分が惨めで、滑稽だった。
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