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喜んで涙する姿は何度も想像した。
これを渡す時は、人生で最高の日になると思っていた。
悲しませるつもりなど一ミリもなかったのに。
今さら何を言ってももう遅すぎるし言い訳にしかならないのに、今までくるみにきちんと伝えていなかったことが次から次へと口をついて出た。
「ホントは少し頑張れば、会う時間だって作れたと思う。電話の一本もできないなんてことはなかったと思う。けど、仕事でしんどい時にくるみに会ったり声聞いたりしたら、なんで俺だけこんなにしんどい思いしなきゃなんないんだろうって、何もかも投げ出してくるみに会いに行きそうな自分が怖かったんだ。くるみのために仕事頑張ろうって決めたのに、そんなことしたら全部無駄になるし」
「わたしのため……?」
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