彼女のためにできること

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「いつか言ってただろ?両親が共働きであんまり構ってもらえなかったから、自分は専業主婦になって、子どもといっぱい遊んでやるんだって。くるみと子どもを養おうと思ったら、今よりもっと頑張らなきゃって。忙しくて心が折れそうになった時、いつもその話をしてくれた時のくるみの顔を思い浮かべて自分を奮い立たせてた」  俺が話をしている間中、くるみはずっと涙を流していた。  唇を噛んだり、俯いて手の甲で口元を押さえたり、手で顔を覆ったり、声を漏らしたり、とにかくずっと泣き続けていた。それこそ、部屋が湿ってしまいそうなほど。  会話が途切れ、部屋に沈黙が訪れる。  何度か鼻を啜っては深呼吸をし、少し落ち着いてからくるみがゆっくりと切り出した。
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