嘘とジェラシー

彼女のためにできること

　俺はあんな風に、澱みなく真っ直ぐくるみに想いを伝えたことなどなかった。

　認めたくはないが、あの状況を見れば誰だって椎名の方がくるみを好きだと思うだろう。

「ううん。悪いのはぜんぶわたしなの……稜サンは悪くない……わたしが悪いの……わたしがぜんぶ……」

　すべての罪を背負い込んで、自分を責めて、前が見えないくらい泣いて、俺に必死で謝るくるみを見ていたら、胸が張り裂けそうになった。

　俺みたいな男の彼女でいることが、何よりも一番彼女を傷つけているんじゃないかと思えた。

「くるみのせいじゃないよ。俺のせいで壊れたんだ。俺がダメにしたんだ……」

「……もうダメなの？わたしたち」

「今まで通り付き合うのは、もう無理じゃないかな？少なくとも、俺はもう今まで通りではいられないと思う」

　最愛の彼女を傷つけることしかできない彼氏などいない方がマシだ。