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やがて、絶望したようにくるみは俺の体を伝って床に崩れ落ちた。
両手をついて泣きじゃくるくるみを見ていたら決意が揺らぎそうになる。
抱きしめそうになる手を強く握りしめた。
別れを選んだのはくるみのためだと自分に言い聞かせる。
一頻り泣いて立ち上がろうとしたくるみがあまりにフラついていたので、思わず手を差し出してしまった。
俺の手を強く握って立ち上がると、くるみが抱きついてきた。
いつもと同じ、柔らかい陽射しのようなくるみの匂いがふわりと鼻を擽った。
「ごめんなさい……本当にごめんなさい。今さら何を言ってももう遅いけど、わたしは稜サンのことが好き。大好き。別れたくなんてない。もっとずっと一緒にいたかった……」
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