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「俺だってくるみのこと好きだよ。ずっとそばにいてほしかった。だから、いがみ合って憎み合って別れたくはない」
その感触を腕に焼き付けるように、くるみを一度だけ強く抱きしめた後、俺はゆっくりと手を離した。
望まない結末に、胸が締め付けられ、息苦しくなった。
夜道は危ないから送ると言ったが、くるみは一人で帰りたいと言った。
頼りない足取りで歩いて行くくるみをマンションの外廊下からじっと見守っていると、くるみは一度だけ振り返りトボトボと歩き出した。
危なっかしくて、一人で帰すのが心配になった俺はくるみの後を追うことにした。
マンションの外に出て進行方向を見た俺は、すぐに足が動かなくなった。
俺が帰ったと思い、気が抜けたのかもしれない。
くるみは道の真ん中に蹲っていた。
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