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せやけど、目は虚ろでいつもみたいにほっぺも唇もツヤツヤじゃないし、顔色も悪い。たった数日ぶりやのに、雰囲気から何から別人みたいに思えた。
「わざわざありがとう。心配してくれるのは嬉しいけど、しばらくそっとしておいてくれないかな。誰かとご飯食べに行ったりするような気分じゃないの」
力なくそう言うと、くるみんは玄関のドアを閉めた。
死ぬ気になってなくてよかったって思ったけど、ちゃんと生きてるかと言われたら疑問の残る姿やった。
アイツと別れてまだ数日やし、しゃあないって分かってるけど、もう前みたいに強がって「大丈夫」って言えんほど落ちてるんかと思うと、すりむいたみたいに胸がピリピリと痛んだ。
結局、オレはくるみんが一番苦しい時に何もしてやられへん。
話を聞くことも、励ますことも、おかしなこと言うて笑わせることも。
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