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「言わんかったんじゃなくて、言いたくても言われへんかっただけやろ?言いにくい空気をつくった向こうにも責任はあるし、くるみんがぜんぶ悪いなんてことはないから。な?」
彼女が頷くことはなかった。
オレが何かを言うたところで、彼女はきっと自分を責め続ける。
励ますつもりで抱きしめたけど、彼女はじっとしたまままるで人形みたいに生気がなかった。
体から抜け出した魂はアイツのとこに行ってるんかな?
早く戻って来いと心の中で叫びながら、抜け殻みたいな彼女を強く抱きしめた。
そんなにアイツがええの?オレじゃあかんの?
オレはこんなに好きやのに。
結局、アイツと別れてから1ヶ月ぐらいは沈みきってたけど、桜が散って新緑の季節になる頃、くるみんは少しずつ笑顔を見せるようになった。
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