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「イヤや。アイツになんか渡したくない。オレの方がくるみんのこと好きやのに。こんなに好きやのに、なんでアイツなん?くるみんを傷つけてばっかりの奴とヨリ戻させたりしやんで、絶対」
いつもは玄関先で言葉を交わすぐらいで抱きしめたりはしやんけど、それでも彼女が以前よりも痩せてることに気づいてないワケはなかった。だから、時間を見つけては一緒に飯食おうって誘い続けてたけど、もう食べたとか外で食べる気分ちゃうって言われたらどうしようもないやん。
「オレってそんなに頼りない?」
「え?」
「倒れるほど辛いなら、1人で悩まんとオレに相談してほしかったなぁ。遠慮せんでも、恋愛相談だって乗れるで、オレ」
「うん……ごめんなさい」
”そんなに、まだアイツのことが好きなん?”
恋愛相談にも乗れると大口叩いてはみたものの、一番訊きたいことは結局訊けんかった。
オレと彼女とアイツの、この曖昧な関係はいつまで続くんやろ。
星もない暗い夜空を見上げてると、もう二度と夜明けなんか来えへんような気がした。
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