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喉から手が出るほど待ち望んだはずの休日だったが、二日ももらったところでしたいことも行きたいところもなく、結局一日だけ休んで月曜日からいつも通りに出勤した。
先輩にはなんで来たんだと怪訝な顔をされたが、家にいても落ち着かないし、意味もなく時間を浪費するぐらいなら仕事をしていた方がマシだ。
きっとその方がいくらか気も紛れるだろう。
あの家には思い出が多すぎて、独りでじっとしていると気が狂いそうだった。
キッチンや浴室はもちろん、ベッドやクローゼットの中にさえくるみがいて、気の休まる場所がなかった。
一緒に暮らしていた訳でもないのに、俺の部屋はくるみの痕跡で溢れていた。
三年七ヶ月という歳月が積み上げてきたものが確かにあって、それは別れたからといって簡単に消えてなくなるものではなかった。
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