俺と彼女とアイツ

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 彼女にはアイツがついている。  俺にできることはもう何もない。  どんどん小さくなっていく後姿を未練たらしく眺めながら、彼女が俺といた時よりも幸せになることを願っていた。  微かに漂う彼女の残り香に腕が疼いた。  もう一度、彼女をこの腕に抱きしめたかった。      *  新年度が始まると、辞令が出て俺にも主任という肩書がついた。以前の俺なら喜んでいたかもしれないが、今は報告したい人もいないし、特に何の感情もなく辞令を受け取った。  緊張した面持ちで研修を受けている新入社員を眺めながら、半年後に何人残っているんだろうと縁起でもないことを考えていた。
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