8251人が本棚に入れています
本棚に追加
/1603ページ
「はい、もしもし。氷川ですが」
「ああ!すみません!会社にお電話して。スマホのロックが解除できないから仕方なく……」
電話の主は酷く焦っている様子で、何が言いたいのかまったく要領を得ない。
「えっと、今日はどういったご用件で?」
「あの、私、くるみと同じ会社の杉田という者なんですけど、さっきくるみが更衣室で倒れて、今病院に向かってるんです。それで……」
「どこの病院ですか?」
相手はまだ何か喋っていたが、俺は病院を聞き出し、会社を飛び出した。
健康には人一倍気を遣っていたし、そんなに病弱な方でもないのに倒れるなんて、きっとよほどのことなんだろう。
大きな病気を患っていないことを祈りながら、タクシーが病院に着くのを苛立ちながら待った。
「あ、氷川さん!」
病院に着くと、見覚えのある女性が駆け寄って来た。
最初のコメントを投稿しよう!