俺と彼女とアイツ

13/29

8251人が本棚に入れています
本棚に追加
/1603ページ
 俺に対しては不信感を持っているようだったが、くるみのことを心底心配してくれている人がいるんだと思うと嬉しかった。  そっと処置室の引き戸を開けると、ベッドの上には点滴をして眠っているくるみがいた。  数週間ぶりにそばで見た彼女は、付き合っていた頃とは別人のようだった。  貧血なら仕方ないのかもしれないが、顔は青白いし、頬もこけているように見える。  かなり痩せたのか、点滴をしている腕も折れそうに細い。  どうしてこんなに……。  痛々しい頬にそっと触れた。  彼女が幸せになることを願っていたが、今のくるみはどう見ても幸せそうには見えなかった。   椎名と付き合って、それなりに充実した生活を送っているのだろうと思っていたが、そうでもないのだろうか。
/1603ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8251人が本棚に入れています
本棚に追加