俺と彼女とアイツ

15/29

8251人が本棚に入れています
本棚に追加
/1603ページ
「……寝てないの?」 「え?うん……き、昨日の夜、マンガ読んでたら途中で止められなくなっちゃって」 「顔色も悪いし、痩せたみたいだけど、ちゃんと飯食ってる?」 「ああ。最近ちょっと太っちゃったから。ダイエットしてるの」  どの答えもぎこちなく、咄嗟に考えたものにしか思えなかった。 「くるみはホントに嘘が下手だね」  指摘すると、彼女は分かりやすく目を逸らした。 「自分が悪いんだから仕方ないの。ごめんなさい。迷惑かけて。会社の人にもちゃんと言っておくね。もう二度と連絡するようなことはしないから」  今にも泣き出しそうな顔で彼女は言った。顔色が優れないせいか、いつもより悲しげに見えてこのまま放っておけない気がした。  杉田さんにも後のことは俺がと言った手前、きちんと家まで送り届けなければいけないだろう。
/1603ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8251人が本棚に入れています
本棚に追加